こんにちは。元国税調査官、女性税理士の中郡里奈です。恵比寿で開業しています。明日からの旅行に浮足立ってる金曜日の午後です。
税務調査に行く前に内観調査を行う場合があります。
内観調査の目的は、事前にお客さんのフリをして入店し、当日の税務調査に役立つ情報の入手を行うことです。
現金商売の場合は売上除外をしやすいので、高い割合で内観調査は行われていると思います。
ある時、隣の部門で焼肉屋に調査に行くことになりました。
実際に調査に行く調査官ではない人が内観調査に行く場合が多いため、私の部署に声が掛かりました。
「私行きます!」そう言って、焼肉屋に内観調査に行くことになりました。
ちなみに、一定の調査費用が出ます。
その焼肉屋のときは、2人で1万円の予算をいただきました。
知らぬふりして入店し、あらゆるところをチェックします。
レジの位置、レジを打ってる人は決められた人か。
テーブルの数、椅子の数。
入店した時の客数、回転数。
メニューの単価。
伝票入力は手書きか機械か。
営業時間や休業日。
従業員の数や入れ替わり。
サービス券の有無。などなど。
次の日に署につくと、それらを一覧にまとめて提出しました。
これらの内観調査に基いて、実際の調査の際に、私が食べた伝票の売上計上の有無や、当日の従業員の人数から架空人件費の有無などを照合します。
いざ隣の部署が焼肉屋に調査に行きました。結果としてきちんとしている会社だったようです。
次の日、調査官に聞かれました。
「誰と行ったんだっけ?」
「はい。友達と行きました。」
「ふぅ~ん。」とニヤリ。
隣から別の調査官が私にささやきました。
「あの焼肉屋って、会計済のオーダー伝票の裏に、どんな客だったか書いてたんだよ。例えば若い男と女、とかね。」
「!!」
そこまで見抜けなかった経験の甘さを強く感じた思い出の内観調査です。